仲介手数料が無料は何を意味する?賃貸契約に関わる知られざるルールについて。

仲介手数料が無料は何を意味する?賃貸契約に関わる知られざるルールについて。
仲介手数料が無料は何を意味する?賃貸契約に関わる知られざるルールについて。

賃貸契約の初期費用として必ず発生するものの一つに仲介手数料があります。お部屋探しや契約手続きを手伝ってくれた仲介業者に対して支払う報酬ですね。

初期費用について解説した下記の記事でも基本的には賃料の1ヶ月分(税別)がかかると説明をしましたが、不動産屋の看板やホームページで時々見かけるのが「仲介手数料無料」という言葉。無料以外でも、例えば大手のエイブルではホームページに「エイブルで契約すると仲介手数料は家賃の半額分(消費税別)」と記載があります。

》賃貸物件の契約にはどのくらいお金が必要?初期費用について分かりやすく解説します。

仲介業者は仲介手数料が主な収益ですので、仲介手数料を無料や半額にすると経営が成り立ちません。(無料だと完全にタダ働きですよね…。)

それでも無料や半額にしているところがあるのは、実は別の収益源があるためで、それには不動産業界特有のシステムが深く関係しているんです。本記事ではそのシステムを分かりやすく説明するとともに、仲介業手数料が無料になるカラクリについて解説します。

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賃貸契約のシステム

賃貸契約のシステム

部屋を借りたことがない方は、仲介業者に行くだけで部屋が借りられると思っている方もいるかもしれませんが、実は賃貸の契約にはさまざまな人々が関わってきます。

一覧にすると上の図の通り。たくさんの関係者がいることが分かります。さらに色々なパターンがあるのですが、今回は分かりやすいように、所有者=貸主、借主=入居者の場合を想定してみましょう。借主≠入居者となるのは、例えば大学に進学する子供を持つ親が契約者(借主)となり、子供が入居者となる場合などです。

借主→仲介業者

借主→仲介業者

お部屋を借りたいと思った皆さん(借主)は、まずは仲介業者の店舗を訪れたりインターネットから問い合わせたりして、自分の希望の条件にあう物件を紹介して貰います。

仲介業者→管理会社

仲介業者→管理会社

仲介業者は物件を探し、管理会社に最新の空室状況を確認し、皆さんの気に入った物件があれば管理会社へ申込みをします。

ここで勘違いをしやすいのですが、仲介業者は物件を直接扱っているのではなく、管理会社が募集をしている物件を皆さんに紹介しているだけなんです。そのため、仲介業者は貸主に会ったことがないのはもちろんのこと、部屋の設備や最新の空室状況についても何も知らないんですね。仲介業者のホームページでは空室だったのに、いざ問い合わせてみたところ既に申し込みが入っていた、といった状況が生まれるのはこの構造が原因なんです。

管理会社→貸主

管理会社→貸主

仲介業者からの申込を受けると、管理会社は貸主にその内容を報告した上で審査を行います。仲介業者から貸主へは矢印が伸びていないので、例えば皆さんが賃料や入居日の交渉をした場合でも、仲介業者を通じて管理会社へ連絡が入り、管理会社から貸主へ確認する流れとなります。皆さん(借主)と管理会社、仲介業者と貸主は直接やりとりをしないシステムになっています。

貸主→借主(契約締結)

貸主→借主(契約)

無事に審査が通過したらいよいよ契約です。貸主(所有者)と借主(入居者)で契約を締結するのですが、貸主も借主も不動産のスペシャリストではないことがほとんどです。そこで、管理会社が契約書類を作成したり、仲介業者が借主へ契約内容の説明をしたりと、無事に契約を締結できるようにサポートします。

以上が物件探しから契約までのおおまかな流れになります。一見すると複雑そうですが、一度理解してしまえば思ったよりもシンプルな構造です。

賃貸契約の報酬

賃貸契約の報酬

賃貸契約の流れが理解できたら、手続きに対する報酬の仕組みを見ていきましょう。仲介手数料無料のカラクリもこれを読めば理解できます。

仲介手数料(借主→仲介業者)

仲介手数料(借主→仲介業者)

部屋探しのサポートの報酬として、借主は仲介業者へ仲介手数料を支払います。一般的には賃料の1ヶ月分(税別)であることが多いです。

広告宣伝費(貸主→管理会社)

広告宣伝費(貸主→管理会社)

ここで鋭い方は「管理会社はタダ働きなの?」と思うかもしれませんが、管理会社は貸主から募集を依頼された空室を埋めた報酬として、貸主から広告宣伝費を貰うことが出来るんです。こちらも一般的には賃料の1ヶ月分(税別)であることが多いです。

AD(貸主→仲介業者)

AD(貸主→仲介業者)

必ず貰える報酬ではないのですが、貸主から仲介業者へのADというものがあります。ADはadvertisementの略で、広告費の意味です。

必ず貰える報酬ではないというのは、貸主が管理会社に募集を依頼する際に自由に設定できる報酬だからなんです。例えば無しとしたり、賃料の1ヶ月分としたり2ヶ月分としたり。

どうして貸主が必ずしも必要ではない報酬を仲介業者に支払うかというと、ADがあれば仲介業者は報酬が増えるので頑張ってお客さんにその物件を紹介しますよね?そのため、不人気な物件でもADがあれば仲介業者に紹介をしてもらい易くなります。

例えば借主からの仲介手数料が1ヶ月分、貸主からのADが1ヶ月分なら、その物件の仲介を行えば仲介業者は2ヶ月分の報酬を得ることが出来ます。そんな物件があれば、仲介業者がお客さんに紹介をしない手はありませんよね。

出典:INVEST ONLINE

ちなみにADがついている物件がどうかは、募集図面の帯を見ることでわかる場合があります。募集図面の下部を帯と言い、ここには不動産業者の情報などが掲載されますが、ADの項目があればそこの数字を確認してみましょう。

AD100は賃料の1ヶ月分の報酬、AD200は賃料の2ヶ月分の報酬を意味します。

カンの良い方ならお分かりかもしれませんが、このADがあるおかげで仲介手数料無料が実現できるんです。例えばADが1ヶ月分なら、仲介手数料が無料でも、ADがついていない物件を仲介手数料が1ヶ月分で仲介した場合と同じ報酬になるんです。

そのため、仲介手数料無料の仲介業者はADがついている物件だけをお客さんに紹介し、貸主から貰えるADで会社を運営している仕組みになっています。

少し話がそれますが、Aという物件とBという物件のどちらに申し込むか迷った場合に、「AとB、どっちが良いと思いますか?」と仲介業者に質問するのはやめましょう。仮にAだけにADがついていた場合、仲介業者は間違いなく「Aが絶対オススメです!」というはずですので。

まとめ

まとめ

仲介手数料が無料になるのは嬉しいですが、それには条件があり、ADがついている物件であることが分かりました。そのため、仲介手数料無料と謳っている仲介業者は、不人気でADがついている物件しか紹介してくれません。

結論、仲介手数料はケチらず、良い物件に出会うためにきちんと支払いましょう。

上記の仕組みを分かっていないためか、仲介手数料は賃料の1ヶ月分(税別)と説明をしているにもかかわらず、契約直前になって仲介手数料を値切ってくるお客さんがいらっしゃいます。カット料金5,000円の美容室へ行き、料金を値下げして欲しいと言う人はいませんよね?プロとしての仕事をする対価としての報酬を提示している以上、それに納得した上で仲介の依頼をするようにしましょう。

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