江之浦測候所の見どころをエリアごとに紹介【アクセスや予約方法についても解説します】

江之浦測候所の見どころをエリアごとに紹介【アクセスや予約方法についても解説します】

江之浦測候所は、現代美術作家の杉本博司がかつて蜜柑畑だった小田原市江之浦の地に建設した美術館・展示施設です。ギャラリー、屋外舞台、茶室、庭園などで構成されていていて、「美術館・展示施設」といっても建築や空間自体がとても面白く、美術に詳しくなくても十分に楽しめる施設になっています。

本記事では江之浦測候所のアクセスや予約方法について解説した後に、私が撮影した写真を交えながら見どころについてご紹介をしていきます。

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アクセス

アクセス

移動手段

江之浦測候所の基本データは次の通りです。東海道本線の根府川駅から南へ進んだ先の江之浦という地区にあります。

  • 住所:神奈川県小田原市江之浦362番地1
  • TEL:0465-42-9170
  • 休館日:火・水曜日、年末年始および臨時休館日
  • 構想:杉本博司
  • 基本設計・デザイン監修:株式会社新素材研究所
  • 施工:鹿島建設株式会社

根府川駅と真鶴駅のちょうど中間くらいの場所ですね。「駅から遠い!」と思った方も安心してください。根府川駅から無料の送迎バスが出ているので、自家用車が無くても、タクシーを使わなくても、電車と送迎バスだけで簡単にアクセスすることが出来ます。

私は東京に住んでいるので、新宿駅から次のように電車を利用して行きました。

  • 新宿駅→小田原駅【JR湘南新宿ラインー東海道本線(約1時間25分)】
  • 小田原駅→根府川駅【東海道本線(約7分)】
  • 根府川駅→江之浦測候所【無料送迎バス(約10分)】

新宿から電車の乗り換え1回、約1時間30分で目的地まで到着することが出来ます。距離の割に意外と東京からアクセスしやすいのが魅力ですね。

根府川駅

無料の送迎バスが出ている根府川駅は、実は関東の駅百選にも選ばれている駅で、瓦葺きの屋根の木造の駅舎がとってもかわいいんです。無人駅ですが、江之浦測候所が出来たおかげで乗降客数が増えたのか、気さくなおばちゃんが拭き掃除をしていました。

そしてなんと、駅とホームからは太平洋を眺めることが出来るんです。江之浦測候所に行く途中に、こんな素晴らしい景色に巡り会えるとは思っていませんでした。ドラマのロケ地やアニメ「ラブライブ!」の聖地としても知名度があるようです。

ちなみに根府川駅の周辺には、飲食店や喫茶店などの暇を潰せるようなお店は全くありません。そのため、お昼は事前に小田原駅で済ませ、根府川駅には無料送迎バスが出発する少し前くらいに着くようにするのがおすすめです。

予約方法

予約方法

完全予約制

江之浦測候所は完全予約制になっています。入場者数を一定人数に絞ることで、場内をゆったりと見学出来るようになっています。また、HPには「施設内の特性とお客様の安全性を考慮し、中学生未満のお客様のご来館はご遠慮いただきます。」という記載があり、中学生未満は入場が出来なくなっています。家族連れで訪問しようと思っている人は注意しましょう。

料金と予約方法

料金は3,000円(税別)で、予約は以下の公式HPから行う事が出来ます。

≫小田原財団の予約ページ

具体的な方法は以下の通り。簡単ですね。

  • 見学の2日前までに予約ページにアクセス
  • 日時と枚数を選択し
  • クレジットカードで支払い
  • セブンイレブンで発券して、当日に持参

一点注意が必要なのは、最寄りの根府川駅にはセブンイレブンが無く、発券をせずに現地へ向かってしまうと入場ができなくなってしまいます。必ず出発前、もしくは小田原駅のセブンイレブンで発券をしておくようにしましょう。

予約時間

予約は午前の部午後の部に分かれていて、乗車する根府川駅発の無料送迎バスの出発時間に合わせて3つの時間帯から1つを選んで予約をするようになっています。(江之浦測候所発の帰りのバスは予約不要です。)

[午前の部(10時~13時)]
・根府川駅発: 9:45/10:05/10:30
・江之浦測候所発: 11:45/12:30/13:05

[午後の部( 13時30分~16時30分)]
・根府川駅発: 13:15/13:35/14:00
・江之浦測候所発: 15:15/16:00/16:35

午後の部を例にすると、私は13:15根府川駅発の枠で予約をし、2時間程見学をして15:15江之浦測候所発のバスで帰りました。私が感じた見学の所要時間は、さらっと見学するなら1時間半、それなりに見学するなら2時間、じっくり見学するなら2時間半です。閉館時間が16時30分と決まっているので、例えばじっくり見学をしたい方は、一番最初の13:15根府川駅発の予約を取るようにしましょう。

参考までに、1月1日時点での1月7日以降の午前の部の予約状況は次の通り。日曜は1ヶ月先前埋まっていますが、日曜以外はほぼ空いています。また、午前の部よりも午後の部の方が日曜の埋まりが遅いので、どうしても日曜の予約が取れない方は、午後の部で空きを探してみるのが良さそうです。

見どころ

見どころ

施設の構成

施設の見取り図は下のようになっていて、明月門エリア竹林エリアに分かれています。古代遺跡の地図のような、超複雑な構成です。

送迎バスを降りるとまずは上の図の明月門エリアの左下、明月門があるエントランスに到着するので入場手続きを済ませます。右手に見えるのが明月門です。明月門は鎌倉にある臨済宗建長寺派の明月院の正門としてなんと室町時代に建てられたもので、その後関東大震災で半壊し、巡り巡って根津美術館の正門として使用され、さらに平成18年の根津美術館の建て替えの際にこちらに寄贈されました。

このように、江之浦測候所ではいたるところに歴史的な建物や石材、木材などが展示されています。しかし施設のコンセプトを壊さないようにするためか、展示物には説明書きなどが一切ありませんので、入場する際に貰える解説入りの冊子を見ながら鑑賞して行きましょう。

また、施設内にはいたるところに「止め石」が置かれています。止め石は日本庭園や神社仏閣の境内において立ち入り禁止を表示するために用いられる石で、物理的というよりも精神的に境界を作り出す役割があります。間違っても止め石の先に行かないように注意しましょう。無造作に「立入禁止」の表札を立てるのではなく、止め石を使用しているところなどにも美意識の徹底さを感じることができます。

扉のストッパーにも、よくあるコンクリートブロックの重りなどではなく数個の石が置かれていてデザインに溶け込んでいました。

明月門エリア

では早速エリア別に見どころをご紹介していきたいと思います。まずは明月門エリアから。下の地図の赤色の数字を参考にしながら見てみて下さい。

明月門エリア

①光学硝子舞台と古代ローマ円形劇場写し観覧席

おそらく江之浦測候所で一番有名な展示で、インスタグラムなどでもよく目にしたことがあるのではないかと思います。冬至の軸線に沿って、檜の懸造りの上に光学硝子が敷詰められた舞台が設置されています。

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冬至の朝にはこの通り、光舞台に朝日が差し込み輝く様子が見られます。

また、光舞台の隣には全長70mの鉄製のトンネルがあり、トンネルの上を止め石が置かれている場所まで進むことが出来るようになっています。前方に広がる相模湾の景色は圧巻でした。

手前にはイタリアのフェレント古代ローマ円形劇場を実測して再現した観客席があり、施設内ではほぼ飲食が禁止ですが、この観客席は飲食が出来るスペースになっていました。

②夏至光遥拝100メートルギャラリー

海抜100メートルの地点に延びる100メートルのギャラリーで、①の硝子舞台が冬至の日の出に向かっているのに対し、こちらは夏至の日の出に向かって張り出しています。

大谷石の荒々しい仕上げが印象的でした。

この100メートルギャラリーの壁面近くで、ファッションブランドsacaiの2021年SSのファッションショーが開催されて話題になりましたね。

③円形石舞台

①の鉄製のトンネルの中はこんな感じで人が通れるようになっていて、硝子舞台と逆側に進むと円形石舞台があります。写真の巨石は江戸城の石垣のために切り出された石で、根府川海岸の海底には、近隣の山中から切り出され江戸湾まで回航されたが、回航に失敗して沈んだ巨石がいくつ眠っているそうです。

竹林エリア

続いて竹林エリアを見ていきましょう。

竹林エリア

①榊の森

明月門エリアと竹林エリアは榊の森という曲がりくねった道でつながっています。急に施設内から出てしまったのかと錯覚するほど何もない道ですが、一度この森を抜けることで、2つのエリアの違いがより明確に感じられました。

②蜜柑畑

そして、榊の森を抜けた先にはなんと蜜柑畑が広がっています。斜面に沿ってみかんの木が植わっていて、果実が鈴なりに実っていました。面白いのが、この畑は江之浦測候所の敷地外で、畑を間を縫うように江之浦測候所の道が延びていること。ディズニーランドが外から隔絶された夢の国だとすると、江之浦測候所は外の風景を巧みに取り入れた原風景の国だと感じました。

蜜柑畑の上方には、明月門エリアの硝子舞台が見えます。

③化石窟

昭和30年代にみかん栽培が賑わっていた頃の道具小屋を、化石やみかん栽培の小道具の展示室として蘇らせたものです。

外から見るとただの小屋なのですが、内部の小屋組みは中々に迫力があります。

右の化石はオルドビス紀(5億500万年~4億3800万年前)の三葉虫の化石です。小屋の中にあまりにも無造作に置かれているため一瞬レプリカかとも思ったのですが、れっきとした本物だそうです。博物館級の化石がこんなにも手の届くところに…。

また、化石の左上に木の板がありますが、これはなんと桃山時代の秀吉軍の禁令立て札だそうです。豊臣秀吉が北条攻めの際に軍紀を律するために建てた立て札で、狼藉や放火を禁止する旨が記載されています。

他にもエイやアンモナイト、海サソリなどの、数億年前~数千万年前の化石がいくつも展示されていました。これを見られただけでも江之浦測候所に来た甲斐がありました。

④展望台(春日社参道)

一番奥は展望台になっていて、相模湾を見渡すことができます。また、2022年春にここに春日社別宮が御霊分けされるそうで、それに先立って参道が整備されていました。江之浦測候所は開業して完成という訳ではなく、これからも様々な変化が期待できそうですね。

まとめ

いかがでしたか。今回は7つの見どころをご紹介しましたが、江之浦測候所には2021年現在で全52の展示があります。また、この空間は実際に体験してみないと良さが伝わらないと思いますので、ぜひ足を運んで体感をしてみて下さい。

展示の多くは屋外にありますので、訪問する際は雨が降っていない日を選んで予約をするのがおすすめです。

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